GTDとはタスク管理の超有名な手法です。デイビッド・アレンが「Getting Things Done」という本の中で提唱したやり方で、その頭文字をとってGTDと呼ばれています。
GTDでは仕事はもちろんですが、それ以外の全てのこと(勉強、家事、健康管理、人間関係などなど)を管理して行きます。
要は、何かに特定したタスク管理をするのではなく、人生そのものをタスク管理するようなイメージです。こうする事で、自分の人生の中でやるべき事全てを管理できるので、「あれもやらないといけない」「あれを忘れている」と言った雑念を追い出し、今やるべきことだけに集中できるようになるという特徴があります。
では、より具体的には、GTDを実践することにはどんなメリットがあるのでしょうか?
GTDのメリット
この仕組みを作り、きちんと継続的にシステムが動くようにこの5つのステップを繰り返し実践するようになると、自分の時間の使い方がガラリと変化して行くことに気づくはずです。
常に頭はクリアな状態を保てるようになるのでストレスも減りますし、思考力も一番良い状態をキープしやすくなります。また、それによって生産性や集中力も向上するし、それによってこれまでと同じ時間でこれまでより多くのことや、より質の高い行動が取れるようになって行きます。
では、その5つのステップでは具体的にどのようなことをすればいいのでしょうか?
GTDの5つのステップ
GTDは、大きく分けて5つのステップを繰り返しループして実践することで、システムとして成立するようになります。
その6つのフェーズとは「把握する」「見極める」「整理する」「更新する」「選択する」です。では、それぞれのフェーズで具体的にどのようなことをするのか?を見て行きましょう。
step1 把握する
「把握する」のフェーズでやることは、自分の頭の中にある「やるべき事」を紙に書いたりパソコンに書き出したりして、全部出し尽くす事です。
ここでの目的は、全部絞り出して頭の中を空っぽにする事です。ものの大小や仕事やプライベート、やりかけかまだ未着手かなど問わず、すべての頭にあることを書き尽くします。
ですので初めてGTDをやる時はこの収集フェーズで何時間もかかってしまうかもしれませんが、それで問題ありません。
2回目以降の「把握する」フェーズでは、新規にできたやるべきことを書き出すだけで良いので、そこまでの時間はかからないでしょう。
なお、この「把握する」フェーズをさらに詳しく学びたい方は、こちらの記事もぜひご活用ください。
step2 見極める
ここでは、「把握する」フェーズで書き出したタスク1つ1つに対して、それは今すぐすべきものかどうか、そもそもすべきかどうか、という事を決めて行きます。
書き出してはみたものの必要ではないなと思うものは消してしまえばいいですし、行動が必要だと思ったものは、じゃあ具体的にどんな行動をすべきか?を明確にして行きます。
この判別について、自分なりの基準が決められないという場合はアイゼンハワーの法則というテクニックを使ってみるといいでしょう。
アイゼンハワーの法則についてはこちらの記事でまとめていますので、こちらも是非参考にしてください。
見極めるステップで、とるべき行動を具体的にするためには?
「ダイエットする」を例にして考えてみましょう。「把握する」でダイエットをやるべきこととして書き出したとします。しかし、ダイエットするというのは目標にはなりますが、それ自体がタスクにはなりません。
なぜなら、ダイエットのために「週に3回ジョギングする」とか「このような食事をする」とか、ダイエットを成功させるための行動がタスクになるのであって、「ダイエットする」というのは単なる目標に過ぎないからです。
なので、ここではそういった目標を、目標を実現するためのタスクに細分化していきます。もし細分化できない場合は、自分がその分野に関する知識がそもそも不足しているという可能性が考えられます。
ですので、そういった場合は「ダイエットに関する、自分に必要な情報を集める」というのが最初にやるべきタスクになるかもしれません。
このように、「自分のアイデアや目標などを、具体的な行動に落とし込む」のが大事です。
なお、この「見極める」フェーズをさらに詳しく学びたい方は、こちらの記事もぜひご活用ください。
step3 整理する
GTDには「コンテキスト」という概念があります。これは、ここのタスクをより分かりやすく分類し、管理するための情報です。この情報は特に決められているものではなく、自分で好きに設定をして活用していくものです。
とはいえ、いきなりそんなこと言われてもどうすりゃいいの…って感じですよね。そこで、ここでは広く使われているコンテキストの有名どころをいくつかご紹介して行きます。
コンテキストとしてよく使われる情報には「場所」「所要時間」「道具」「人」「大まかな締め切り」などがあります。
場所
自宅、会社、移動中など、その時どこにいるかをベースにしたコンテキストです。タスクによっては家じゃないとできなかったり、会社じゃないとできなかったりというように場所が限定されることがあるでしょうし、逆に移動中についでにできるというタスクもあるでしょう。該当タスクにこうしたコンテキストを割り当てておくことで、効率的なタスク処理ができるようになります。
所要時間
このタスクにはどれくらいの時間がかかりそうか?をベースにしたコンテキストです。5分、15分、1時間などざっくりとした所要時間をタスクごとに割り当てておくと、その酷のタスクを処理できるか?というスケジューリングが行いやすくなります。
また、ちょっとした空き時間などに数分でできるタスクを素早く参照することができるので、空き時間を無駄にせず有意義に活用することができるようになります。
道具
そのタスクに必要な道具は何か?をベースにしたコンテキストです。例えばパソコンというコンテキストをタスクに割り当てることで、パソコンがあるときにやるべきタスクをすぐに確認することができます。
他にも例えば、スマホというコンテキストを作っておけば、移動中のちょっとした時間にできるタスクをすぐに確認することができます。
人
そのタスクに必要な人は誰か?をベースにしたコンテキストです。これは主に、普段接する機会の多い人が主軸になっていくかと思います。
例えば母親や父親だとか、妻だとか、彼女だとか。仕事では同僚や直属の上司、頻繁に会う顧客などがコンテキストとなってくるケースが多いでしょう。
分かりやすい例でいうと「Aさんに資料を渡す」「Aさんに来週の飲み会の予定を聞く」という2つのタスクがあった場合、Aさんに会った時に一挙に両方のタスクを終わらせることができます。
こうした情報をすぐに把握できるようにしておくことで、1つのタスクをやった後に「あ、Aさんにあれ聞き忘れた!」となる事態を無くしていくことができます。
大まかな締め切り
それをざっくりいつまでにやるのか?をベースにしたコンテキストです。
来週中なのか、来月中なのか、半年以内なのか、1年以内なのか。ざっくりとした基準ですが、これだけでも先々の予定を立てて行く上で非常に役立ちます。
プロジェクト(コンテキスト以外の整理方法)
あるタスクを完了させるには、複数の小さいタスクを完了させる必要のある物が少なくありません。この場合は、複数のタスクを1つのプロジェクトとしてタスクを管理するようにします。これは、GTDについて知らなくても普段自然にやっている人も多いかと思います。
コンテキストとプロジェクトを組み合わせてタスクを管理すると、膨大かつ複雑なタスクもすっきりシンプルに管理することができるようになります。
なお、この「整理する」フェーズをさらに詳しく学びたい方は、こちらの記事もぜひご活用ください。
step4 更新する
定期継続的に作成したリストを見直したり、最新の状態に更新したりします。また、その時の時自分の状況とも照らし合わせ、何をどのような順序で行うか?の優先順位についても考えて行きます。
実際にGTDに従ってタスクを実行した後の進捗を確認し、振り返ることも大事です。そして、そこでの情報を元に問題点を見つけ出したり、改善を行ったりして行きます。
このように一度作ったらそれっきりにするのではなく、それを更新して改善し続けることで常に今の自分にとって最良のリストをキープし続けることができ、それによって高い生産性を発揮・キープできるようになります。
なお、この「更新する」フェーズをさらに詳しく学びたい方は、こちらの記事もぜひご活用ください。
step5 選択する
使える時間はどれくらいか、何ができる状況・環境にいるか、自分のエネルギーは今どれくらいあるか、優先順位と照らし合わせてどうか、などの観点から「次に自分は何をすべきか?」を選び、実際に実行して行きます。
GTDのこれまでの4つのステップと、上記の判断基準で次に何をやるべきかを考えると、次に何をするべきか決めるときに「とりあえずこれをやろうかなぁ…」という自信のない状態ではなく、「次はこれだ!」と確信を持った上で自分の行動を選択できるようになります。
なお、この「選択する」フェーズをさらに詳しく学びたい方は、こちらの記事もぜひご活用ください。
5つのステップを繰り返そう
以上の5つのステップを繰り返し実践し続けるのが、GTDの基本です。GTDを実践すると頭がクリアになるので、今やるべきことだけを考えられる状態になります。
そうすると集中力もアップするし、生産性もアップします。そして生産性がアップすれば今までと同じ時間でより多くの行動やより質の高い行動が取れるようになるので、好循環が始まって行くというわけです。
タスク管理の手法としては王道かつ強力ですので、ぜひ取り入れてみてください。